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ようやく本格化し始めた中古住宅流通市場の制度改革

高度成長期における国内の住宅政策を支えてきた「住宅建設五箇年計画」(第8期:2001年度〜2005年度)に代わり、住生活基本法が施行されたのは2006年6月のことだ。このとき「フローからストックへ」という掛け声とともに、中古住宅重視への方針転換が図られた……はずだった。しかし、それと同時に「良質な住宅の供給」が掲げられたため、認定長期優良住宅制度など新築住宅を対象とした政策が推し進められ今日に至っている。

その間、中古住宅の性能向上を目的とした耐震改修促進税制の創設(2006年)、バリアフリー改修促進税制の創設(2007年)、省エネ改修促進税制の創設(2008年)など税金面での対応や、取引価格の公開制度による市場透明化への取り組み、既存住宅売買瑕疵保険の導入(2010年)なども実施されたが、いずれもまだ十分に活用されているとはいえない状況だろう。

そんななかで2011年10月から7回にわたり、有識者による「不動産流通市場活性化フォーラム」が開催され、2012年6月に提言がまとめられた。これは既存住宅(中古住宅)の取引市場拡大を目指したものであり、その後「不動産流通市場活性化事業者間連携協議会」(2013年時点で全国14協議会が参加)がスタートした。ここでは宅地建物取引業者、リフォーム業者、インスペクション業者、住宅瑕疵担保責任保険法人、金融機関などが連携して、消費者に対するワンストップサービスを提供する仕組みなどを検討している。

さらに、2013年6月には国土交通省が「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を策定したほか、2014年2月には長期優良住宅化リフォーム推進事業も始まった。消費者が安心して中古住宅を購入できるような環境づくりを目指す取り組みが、ようやく本格的に動き出したといえる状況だろう。


更新日時 : 2015-02-08