■ 不動産用語集
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
▲ 京間 ( きょうま )
主に関西で用いられてきた、日本の伝統家屋の基本モジュールのこと。
関東間よりもやや広い。京都、大阪を中心に主に関西以西で用いられる。
日本の伝統家屋を設計する際に基本となる柱の間隔(柱の中心から柱の中心までの距離)のことを「1間(いっけん)」という。京間とは、この1間を「6尺5寸」(約197.0cm)とする家屋のことである。
(注)日本古来の度量衡である尺貫法では、1尺は30.303cm、1寸は1尺の10分の1、1分は1尺の100分の1である。なお尺の長さは明治24(1891)年の度量衡法で定められたが、昭和33(1958)年に公式の単位としては廃止されている。
▲ 共有 ( きょうゆう )
私法上の概念で、複数の者が、同一の物を同時に所有している形をいう。
例えば、相続人が複数の場合の相続の際に、遺産が分割されるまでは相続人が遺産「共有」することになる。また分譲マンションの共用部分は、区分所有者の「共有」に属している。
なお、共有物に対する各共有者の権利を「持分」または「持分権」と呼び、それぞれ単独で自由に持分を譲渡することができる。
▲ 共有持分 ( きょうゆうもちぶん )
複数の人が一つの物を共同で所有しているとき、それぞれの人がその物について持っている所有権の割合を「共有持分」という。
例えば、相続が発生して、3人の子が1つの土地を相続したとき、遺産分割をする前の時点では、各相続人のその土地に関する共有持分は「3分の1」である。
▲ 共用部分 ( きょうようぶぶん )
分譲マンションのような区分所有建物について、区分所有者が全員で共有している建物の部分を「共用部分」という。
その反対に各区分所有者がそれぞれ単独で所有している部分は「専有部分」と呼ばれる。
具体的には、次の3つのものが「共用部分」である(区分所有法第2条)。
1.その性質上区分所有者が共同で使用する部分(廊下、階段、エレベーター、エントランス、バルコニー、外壁など)
2.専有部分に属さない建物の付属物(専有部分の外部にある電気・ガス・水道設備など)
3.本来は専有部分となることができるが、管理規約の定めにより共用部分とされたもの(管理人室・集会室など)
このような1.〜3.の共用部分は、原則として区分所有者全員の共有である(区分所有法第11条)。
また共用部分は共有であるため、各区分所有者はそれぞれ共用部分に関する共有持分を持っていることになる。
この共有持分の割合は、原則として、専有部分の床面積(専有面積)の割合に等しい(区分所有法第14条)が、この割合は規約により変えることができる。
また区分所有者は、その共用部分の共有持分のみを自由に売却等することはできない(区分所有法第15条)。
▲ 居室 ( きょしつ )
居室とは「居住、作業、娯楽などの目的のために継続的に使用する室のこと」である(建築基準法2条4号)。
この定義に従えば、一般の住宅の場合、居室とは「居間」「寝室」「台所」である。
その反対に、「玄関」「便所」「浴室」「脱衣室」「洗面所」「押入れ」「納戸」「廊下」は居室ではない。
なお建築基準法では、居住の目的のための居室については、採光に関する基準(建築基準法第28条第1項)と換気に関する基準(建築基準法第28条第2項)をクリアすることを必要としている。
ただし、居室として使用する地下室については採光の基準が適用されず、その代わりに衛生上必要な防湿の措置等を行なうことが必要とされている(建築基準法第29条)。
▲ 居住制限区域 ( きょじゅうせいげんくいき )
原子力発電所の事故によって被災して避難指示のもとにある区域のうち、年間積算線量が20ミリシーベルトを超える恐れがあり、被ばく線量を低減する観点から避難を継続することが求められる地域をいう。原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)の指示によって指定される。
この区域では、除染を計画的に実施するとともに、早期の復旧に不可欠な基盤施設の復旧を目指すとされている。また、避難指示によって、区域内への不要不急の立入りを控えるとともに、立ち入る場合には被ばくする放射線量をできるだけ低減するよう行動すべきとされている。
なお、この区域の不動産について価格調査等を行うに当たっては、原発事故等格差修正を適用するなどの注意が必要とされている。
▲ 切妻屋根 ( きりつまやね )
屋根の形式の一つで、棟からその両側に流れ落ちるかたちのもの。屋根は二面、建物の妻側上部が三角形となる。
▲ 切り土 ( きりど )
傾斜のある土地を平らな土地にするために、地面を掘り取ること。
宅地造成工事規制区域の中にある宅地において、高さが2mを超える崖を生じるような切り土をする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受けることが必要である(宅地造成等規制法第8条)。
▲ 銀行印(会社の〜) ( ぎんこういん(かいしゃの〜) )
会社が銀行口座を開設する際に、銀行に届け出た印鑑のこと。
小切手や手形の振り出しにこの銀行印が必要である。
▲ 銀行印(個人の〜) ( ぎんこういん(こじんの〜 )
個人が銀行口座を開設した際に、銀行に届け出た印鑑のこと。
▲ 金銭債権 ( きんせんさいけん )
金銭の支払いを受けることを目的とした債権をいう。
例えば、売掛金、貸金、不動産賃料、預金などはすべて金銭債権である。
金銭債権を流動化する手法(債権を早期に現金化する手法でもある)として、売掛債権、貸金債権、不動産賃料債権などを信託し、その受益権を金融商品として販売することが行なわれている。住宅ローン債権の流動化も、その一つである。
金銭債権は特約がない限り、貨幣価値の変動を顧慮する必要はなく(ただし一般的に利息の負担を伴う)、不可抗力による履行遅延が免責されないなどの特徴があるが、その特徴は金銭債権を裏付けにした金融商品にも反映されることとなる。
▲ 金属板葺き ( きんぞくいたぶき )
金属板で屋根を覆うこと。
金属板には、亜鉛メッキ鋼板(トタン)、スズメッキ鋼板(ブリキ)、アルミなどが使用されるが、最近では、銅、ステンレス、チタンなども用いられる。一般住宅では鋼板、アルミが多く使用されている。
金属板葺きには、軽量かつ安価であること、複雑な屋根でも加工しやすいことなどの長所がある。
金属板葺きの工法としては、一文字葺き、瓦棒葺き、横葺きなどがあり、いずれも板同士の継ぎ目を折り曲げて加工し、下地に釘などで止めるものである。
この他に、継ぎ目を溶接する工法が用いられる場合もある。
▲ 金属屋根 ( きんぞくやね )
亜鉛メッキ鋼板(トタン)、スズメッキ鋼板(ブリキ)、アルミ、銅、ステンレス、チタンなどの金属板で葺(ふ)いた屋根のこと。
▲ 近隣商業地域 ( きんりんしょうぎょうちいき )
都市計画法(9条)で「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として60%または80%である。
また容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。
(建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(面積の制限なし)
4.事務所(面積の制限なし)
5.危険や環境悪化の恐れが少ない作業場面積が150平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館(面積の制限なし)
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等(面積の制限なし)、客席が200平方メートル未満のミニシアター
8.自動車教習所(面積の制限なし)
9.倉庫業の倉庫
(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の工場
2.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設
▲ 区域区分 ( くいきくぶん )
都市計画によって、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分することをいう。
区域区分は、
1.都道府県が、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があると認めるとき
2.都市計画区域が、指定都市の区域、首都圏の既成市街地・近郊整備地帯、近畿圏の既成都市区域・近郊整備区域、中部圏の都市整備区域の全部または一部を含む場合
に定められる。
なお、区域区分が定められていない都市計画区域を「非線引き区域」と呼ぶことがある。
▲ 区域区分が定められていない都市計画区域 ( くいきくぶんがさだめられていないとしけいかくくいき )
市街化区域と市街化調整区域とに区分されていない都市計画区域のこと。
一つの都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分することを「区域区分」(または「線引き」)と呼ぶが、この「区域区分」がされていない都市計画区域が「区域区分が定められていない都市計画区域」である。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は一般に「非線引き区域」とも呼ばれている(かつては「未線引き区域」とも呼ばれていたが平成12年の都市計画法の改正によりこの呼称は廃止された)。
1.趣旨
都市計画法第7条では、指定都市等では「区域区分」を必ず定めるよう規定しているので、「区域区分が定められていない都市計画区域」は指定都市等以外に存在している(詳しくは「区域区分」へ)。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は市街化の圧力が弱い地域であるので、土地利用に関する規制が市街化区域より緩やかであり、開発許可の規制も緩やかである。
2.土地利用の規制について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、用途地域を定めることができるが、必ず用途地域を定めるわけではない。「区域区分が定められていない都市計画区域」の内部において用途地域が定められていない部分は「非線引き白地地域」と呼ばれることがある。なお、この「非線引き白地地域」では用途制限を課す目的で「特定用途制限地域」を設けることができる。
3.都市施設等について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、都市施設のうち少なくとも「道路、公園、下水道」を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。
また、市街地開発事業、促進区域を定めることも可能である(都市計画法第13条第1項第13号・第8号)。
4.開発許可について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では開発許可制度が適用される。ただし、開発許可を受けるべき開発の面積は「3,000平方メートル以上」とされている。ちなみに、市街化区域では開発許可を受けるべき開発の面積は「1,000平方メートル以上」である。
ただし、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに、都道府県・指定都市等の規則により、開発許可を受けるべき開発の面積を「300平方メートル以上」にまで引き下げることが可能である(都市計画法施行令第19条)。
また開発許可の基準については、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに都市計画法第33条の基準(技術的基準)だけを満たせば、開発許可が与えられる。つまり、区域区分が定められていない都市計画区域に対しては、都市計画法第34条の基準(市街化調整区域の開発許可の基準)は適用されない。
▲ 杭基礎 ( くいきそ )
直接基礎では十分に建物を支持できない場合に用いられる基礎。
コンクリート製などの杭を打設して硬い地盤まで到達させ、その杭の上に建物の土台を築くものである。
また固い地盤がない場合には、杭自体の摩擦力で、建物全体の荷重を支える方法が取られる。
▲ 空中権 ( くうちゅうけん )
2つの意味がある。
1.土地の上空の空間の一部を使用する権利
契約により設定する空間の上下の範囲を定めて土地を独占的に使用する権利をいい、その法的な形式によって「区分地上権」または「区分地上権に準ずる地役権」に分かれる。
区分地上権による空中権は、工作物(例えば空中電線)を所有する目的で上下の限られた空間を排他独占的に使用収益する権利をいう。また、区分地上権に準ずる地役権による空中権は、自己の土地(例えば電柱の設置場所)の便益のために他人の土地の空中を使用する(例えば電線を設置する)権利である。
いずれも、民法上の物権として認められている。
2.未利用の容積率を移転する権利
都市計画で定められた容積率(建物の敷地面積に対する総床面積の割合)のうち、未使用のものを他の土地に移転する権利をいう。
一定の条件のもとで容積率を割増しする方法(実質的に容積率が移転される)としては、「特定街区」「一団地の総合的設計」「高度利用地区」「連坦建築物設計」などの制度があるが、いずれも移転対象建物が隣接していなければならない他、既存建物の未利用容積率を移転することはできない(「連坦建築物設計」を除く)。
もっと広範囲で容積率を移転できる制度としては、「特例容積率適用地区制度」がある。これは、都市計画で一定の区域を定め、その区域内の建築敷地の指定容積率の一部を複数の建築敷地間で移転することを認める制度であり、2001年に創設された。
現在、東京都千代田区の一部が「大手町・丸の内・有楽町地区特例容積率適用地区」(116.7ha)として指定され、東京駅の駅舎敷地で未使用となっている容積率(東京駅は復元改修後、それ以上容積率を使用しないで保存される)を、その周辺の新築ビル(東京ビルディング、新丸ビル、丸の内パークビル、八重洲側の南北グラントウキョウビル等)に移転して、本来の容積率以上の高層ビル化を実現している。
容積率の移転は建築確認によって認められるもので、当事者が空中権を直接に取引する制度が確立しているわけではないが、容積を移転する敷地に対して移転先の敷地所有者が地役権を設定し、移転敷地所有者にその対価を支払うという方法が取られている。
なお、アメリカでは、未利用容積率を移転する権利がTDR(Transferable Development Right:移転可能な開発権)として法制化されている。
▲ 空地率 ( くうちりつ )
敷地面積から建築面積(建物が建っている部分の面積)を差し引き、敷地面積で割った値のこと。
敷地に占める空地(くうち:敷地のうち建築物が建てられていない部分のこと)の割合を示す数値である。
空地率が高いほど、建築物の周囲の環境が良好になると考えられている。また近年では高い空地率を確保し、空地に歩行用通路・樹木・植栽等を整備することにより、不動産の価値自体を高めるという開発手法が用いられている。
▲ 管柱 ( くだばしら )
通し柱が1階から2階以上の階まで1本物の柱で通すのに対し、管柱は階の途中で胴差など桁材で中断されている箇所に用いる短柱をいう。