不動産用語を調べる



■ 不動産用語集

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▲ 重大な不履行(契約の) ( じゅうだいなふりこう(けいやくの) ) 

債務の履行について合理的な期待を持てない状態にあることをいう。このような場合には、債務者に故意・過失がない場合にも契約解除を認めるべきであるという私法上の考え方がある。

伝統的に、債務不履行による契約解除には相手方の責めに帰すべき事由が必要であるとされ、民法はこれを採用している。これに対して、契約解除は合理的な期待を失った法的拘束から債権者を解放する役割を果たすのだから、債務者の故意・過失の有無とは無関係にこれを認めるべきであるという考え方(帰責事由不要説)があり、その要件とされるのが「重大な不履行」である(ただしどのような場合が重大な不履行に当たるのかについては必ずしも明確ではない)。

このように帰責事由の取扱いは債務の履行を確保する上で大事な観点であり、そのあり方について議論がある。

▲ 住宅インスペクション ( じゅうたくいんすぺくしょん ) 

既存住宅を対象に、構造の安全性や劣化の状況を把握するために行う検査・調査をいう。
住宅インスペクションは、目視等を中心とした現況把握のための検査、耐震診断等の破壊調査を含めた詳細な調査、性能向上等のための調査など、目的に応じて異なった内容で実施される。

中古住宅の売買に当たっては、現況把握のための検査が実施されるが、そのためのガイドラインとして「既存住宅インスペクション・ガイドライン」(2013年、国土交通省)が公表されている。同ガイドラインの概要は次の通りである。

1)インスペクションは、検査対象部位について、目視、計測を中心とした非破壊による検査を基本にして、構造耐力上の安全性、雨漏り・水漏れ、設備配管の日常生活上支障のある劣化等の劣化事象を把握する方法で行なう。
2)業務の受託時に契約内容等を検査の依頼人に説明し、検査結果を書面で依頼人に提出する。
3)検査を行なう者は、住宅の建築や劣化・不具合等に関する知識、検査の実施方法や判定に関する知識と経験が求められ、住宅の建築に関する一定の資格を有していることや実務経験を有していることが一つの目安になる。
4)公正な業務実施のために、客観性・中立性の確保(たとえば、自らが売り主となる住宅についてはインスペクション業務を実施しないなど)、守秘義務などを遵守する。

▲ 住宅街区整備事業 ( じゅうたくがいくせいびじぎょう ) 

都市計画で定められた市街地開発事業の一つで、大都市地域で住宅や住宅地を供給するために実施される事業をいう。

都市計画で指定された住宅街区整備促進区域内において施行され、土地の区画形質の変更、公共施設の整備、共同住宅の建設などによって住宅の供給を促進する役割を担う。

事業手法の特徴は、従前の権利者に対して、土地区画整理事業と同様に事業によって整備した相応の土地を与える(換地、このとき減歩を伴う)ほか、事業によって建設する共同住宅の相応の持分を与える(権利変換、これにより宅地が立体化される)方法を併用することである。

また、区域内に集合農地地区を整備し、そこへ換地することによって従前の権利者が農業を継続できるようにすることも可能である。

住宅街区整備事業は、土地区画整理事業よりもさらに住宅建設への誘導効果が高いと考えられているが、事業の仕組みはより複雑なものとなるなどの理由により、実際の施行例は数例に留まっている。

なお、事業の仕組みは、「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法」に規定されている。

▲ 住宅金融公庫 ( じゅうたくきんゆうこうこ ) 

特殊法人(政府の機能の一部を担う特別の法律による法人)の一つで、政府の保証を背景とした住宅金融業務を実施することを目的に昭和25(1950)年に設立された。その中心的な業務は、個人住宅向けの資金融資、賃貸住宅建設のための融資、住宅融資保険などであった。だが、民間金融機関の個人向け住宅ローンの拡大等を受けて、平成15年(2003)年10月からは、従来の融資業務を縮小し、新たに始めた証券化支援業務を中心とした民間金融機関による住宅金融の支援・補完機能を担う組織へと転換した。

さらに平成15(2007)年には、住宅金融公庫は廃止され、その権利義務は、(独)住宅金融支援機構に引き継がれた。

▲ 住宅金融支援機構 ( じゅうたくきんゆうしえんきこう ) 

政府の保証を背景とした住宅金融業務を実施することを目的に設立された「住宅金融公庫」の権利義務を引き継ぐ形で平成19(2007)年に設立された。

主な業務は、

1.一般の金融機関の住宅貸付債権の譲受け、住宅貸付債権を担保とする債券に係る債務保証などの業務(証券化支援業務)

2.民間住宅ローンについて保険を行なう業務(融資保険業務)

3.災害関連、都市居住再生等の一般の金融機関による融通が困難な分野で住宅資金を直接に融資する業務(直接融資業務)

である。

なお、住宅金融公庫が民間金融機関と提携して実施していた長期固定金利の住宅資金融資(フラット35)は、証券化支援業務の一つであり、機構が引き続き実施している。

▲ 住宅セーフティネット ( じゅうたくせーふてぃねっと ) 

住宅を確保するのが困難な者に対してその居住を支援する仕組みをいう。

その対象となるのは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭などの住宅確保要配慮者であり、住宅確保の方法として、

1.公的賃貸住宅の活用
2.民間賃貸住宅の質の向上と優先入居措置等
3.情報提供や相談による円滑な入居支援

が推進されている。

また、住宅セーフティネットは、地域に即して構築することが有効であるとされる。そしてそのための体制として、地方公共団体、宅地建物取引業者や賃貸住宅管理業者の団体、居住に係る支援を行なうNPOなどで構成される居住支援協議会が設立され、その活動によって支援の実効性を高めることが進められつつある。

▲ 住宅着工統計 ( じゅうたくちゃっこうとうけい ) 

住宅の新改築の動向に関する統計で、国土交通省が実施し、その結果は毎月公表されている。住宅の着工状況(戸数、床面積の合計)を、構造(木造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他)、建て方(一戸建て、長屋建て、共同住宅)、利用関係(持家、貸家、給与住宅、分譲住宅)、資金(民間、公的)、建築工法(在来工法、プレハブ工法、枠組壁工法)等に分類して把握できる。統計のための原資料は、建築確認申請である。

なお、住宅着工統計は、全国の建築物の動態を明らかにするための統計調査(建築動態統計調査)の一環として実施されており、その全体的な体系は次のようになっている。

1.建築着工統計調査(建築物着工統計、住宅着工統計、補正調査)
2.建築物滅失統計調査(建築物除去統計、建築物災害統計)

▲ 住宅手当(離職者に対する〜) ( じゅうたくてあて(りしょくしゃにたいする〜) ) 

住宅を喪失または喪失する恐れのある離職者であって、就労意欲のある者に対し、賃貸住宅の家賃を給付する制度をいう。

支給の対象となるのは、

1.離職し、離職前に生計維持者であったこと
2.ハローワークに求職を申し込んでいること
3.住宅を喪失し、または賃貸住宅に居住し住宅を喪失する恐れがあること
4.申請者および生計同一者の収入、預貯金が一定額未満であること

という条件を満たす者である。

支給額は、賃貸住宅の家賃額で地域ごとに上限があるほか、収入に応じた調整がなされる。支給期間は原則6ヵ月(一定の条件を満たせば最大9ヵ月)である。
手当を受給するには、住宅の賃貸借契約の際に住宅手当支給対象者証明書を提示したうえで自治体窓口に契約書の写し等を提出することが必要で、手当はそれにもとづき賃貸住宅の貸主等に対して直接に支払われる。

▲ 住宅販売瑕疵担保保証金 ( じゅうたくはんばいかしたんぽほしょうきん ) 

宅地建物取引業者が新築住宅を販売した場合に、特定住宅瑕疵担保責任(構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に対する10年間の担保責任)を確実に履行するために、当該宅地建物取引業者が供託しなければならない金銭をいう。この供託は義務であるが(住宅瑕疵担保履行法の規定)、住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結した住宅は供託の対象とされない。また、供託金額は、販売戸数(住宅販売瑕疵担保責任保険に係る住宅戸数を除く)に応じて決められている。  

特定住宅瑕疵担保責任の対象となる瑕疵によって損害が生じた場合には、買い主は、その損害賠償請求権に関して、供託された住宅販売瑕疵担保保証金について他の債権者に優先して弁済を受けることができる。

▲ 住宅保証機構 ( じゅうたくほしょうきこう ) 

住宅の性能等を保証するための制度を運営することを目的とした財団法人(現在は株式会社)で、昭和57(1983)年に設立された。

その主要業務は、住宅性能保証、住宅完成保証、地盤保証、既存住宅保証の各業務である。
特に、住宅性能保証は、住宅の品質確保の促進等に関する法律による新築住宅の10年間の瑕疵担保責任を支援する役割を担っている。

▲ 住宅用火災警報器 ( じゅうたくようかさいけいほうき ) 

火災の発生をキャッチしてブザーや音声で知らせる装置をいい、すべての寝室と寝室のある階の階段には必ず設置しなければならない(スプリンクラーや自動火災警報設備が設置されているときは免除)。
また、市町村の火災予防条例で台所等への設置を義務付けている場合もある。

この義務付けは、住宅火災による死者発生の防止を目的としたもので、新築住宅は平成18(2006)年6月1日から、既存住宅は市町村の火災予防条例で定める日(最も遅い地域でも平成23(2011)年6月1日)から義務化される。
ただし、設置は自己責任とされ、設置しない場合も罰則は課されない。

住宅用火災警報器にはいくつかの種類があるが、設置が義務付けられているのは煙を感知するもの(煙式)である。なお、消防法では「住宅用防災警報器」と規定されているが、住宅用火災警報器と同義である。

▲ 住宅リフォーム減税 ( じゅうたくりふぉーむげんぜい ) 

特定の目的で住宅の改修をした場合に、課税が軽減される制度をいう。

減税の対象となるのは、省エネ・バリアフリー・耐震の各目的で行なった住宅改修工事であり、減税の方法としては、

1.工事費の一定割合を所得税額から控除する方法
2.工事のための借入金残高の一定割合を所得税額から控除する方法(ローン控除、省エネ・バリアフリーについてのみ適用)

がある。また、改修後の住宅に課する固定資産税が一定期間減額される。

それぞれについて、減税対象となる工事の内容、控除額の算定方法や上限、適用期間などが定められている。詳細は、「省エネ改修促進税制(住宅の〜)」「バリアフリー改修促進税制(住宅の〜)」「耐震改修促進税制(住宅の〜)」を参照。

なお、一般の住宅ローン減税においても、一定の改修工事費がその対象とされている。この場合には、改修目的は限定されないが、居住を目的とした住宅リフォームであること、リフォーム後の床面積が50平方メートル以上であること、大規模な修繕、模様替えを伴う工事であることなどの要件を満たさなければならない。

▲ 住宅ローン ( じゅうたくろーん ) 

個人に対する住宅資金の融資をいう。

主として民間の金融機関が担っているが、その円滑な実施などのため、(独)住宅金融支援機構(住宅金融公庫の廃止後、その機能の一部を引き継いだ組織)と連携することが多い。また、年金基金、共済組合などが融資する場合もある。

融資の期間、利率(固定金利か変動金利かを含めて)などの条件は、金融機関によって異なるほか、借入者の属性や状況等、金融機関との取引の状況に応じて多様である。その選択のために、借入と償還をさまざまにシュミレーションできるサービスも提供されている。

住宅ローンの実施に際しては、通常、融資対象となる住宅に担保権が設定されるほか、連帯保証人を求められることが多い。また、住宅販売会社が提携金融機関の融資を斡旋する場合もある(提携住宅ローン)。

なお、住宅ローンの負担軽減のための税制上の優遇措置(住宅ローン減税)があるほか、住宅ローン債権がSPCなどに譲渡され証券化される例も増えてきている。

▲ 住宅ローン減税 ( じゅうたくろーんげんぜい ) 

 所得税の課税に当たって、住宅ローンの残高の一部を税額から控除する制度をいう。一定の要件に該当する住宅を居住の用に供した年以降10年間にわたって、当該住宅に係るローン残高の一部を各年分の所得税額から控除できる。
住宅借入金等特別控除制度ともいわれ、これにより住宅取得等のための借入金に係る負担が軽減される。 

対象となるのは、床面積その他についての一定の要件を満たす住宅の新築、購入、増改築等のための借入金等(その住宅の敷地を取得するための借入金等を含む)の残高がある場合である。また、所得が一定の額以下でないと適用されない。

控除期間は入居後10年間、控除額は年末の残高の1%(長期優良住宅については入居年に応じて1.2%又は1%)、であるが、控除の対象となる借入金の残高及び控除額について、入居年に応じて限度額が決められている。
なお、この控除と、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除制度とは併用可能である。

▲ 修復(建築物の) ( しゅうふく(けんちくぶつの) ) 

建物等をその保護保全と機能回復のために改造すること。保護保全すべきものとして歴史的、芸術的な価値や環境的機能などがあり、回復すべき機能として利便性や利用可能性などがある。この両方を目指すところが「保存」や「復元」との違いであるとされる。

なお、絵画など芸術作品の「修復」には、保護保全とともに、元の状態に戻す「復元」の性格が強く現れている。

▲ 従物 ( じゅうぶつ ) 

主物に附属せしめられた物のことを「従物」という(民法第87条第1項)。
例えば、建物が主物、建物に取り付けられたエアコンは従物である。判例に現れた従物の例としては、建物に対する畳・建具、宅地に対する石灯籠・取り外し可能な庭石などがある。
従物については、次の点が問題となる。

1.主物の売買
従物は「主物の処分にしたがう」(民法第87条第2項)とされているので、通常は、主物を売買すれば、当然に従物も売買されることになる。ただし、売買の当事者がこれと異なる合意をすれば、従物と主物を切り離して売買することが可能である。

2.主物の登記
主物が登記されれば、その登記により主物と従物の両方の物権変動が公示されたことになる。従って、建物が登記されれば、附属建物である物置が未登記であっても、登記の対抗力は附属建物である物置に及ぶ。

3.抵当権の設定
抵当権を設定した当時において、すでに主物に附属せしめられていた従物には、抵当権の効力が及ぶ。しかし抵当権設定後に附属せしめられた従物については解釈が分かれている。
(詳しくは付加一体物へ)

4.従たる権利
「従物は主物の処分にしたがう」という民法第87条第2項は、物と権利との関係にも類推適用されている。すなわち、借地上の建物が売買される場合には、その建物とともに借地権も売買される。このように、主物に附属せしめられた権利を「従たる権利」という。

▲ 住民税 ( じゅうみんぜい ) 

居住する個人に課せられる地方税で、道府県民税と市町村民税を合わせたものをいう。

地方税は、所得に対して課せられる「所得割」と、定められた額が一律に課せられる「均等割」とがある。両者を合算したのが住民税額である。
地方税は、その年の1月1日現在で居住しているところで課され、所得割の税額は、前年の1月から12月までの所得に応じて算出される。また、その賦課徴収は市町村が一括して行なう。

▲ 重要事項説明 ( じゅうようじこうせつめい ) 

宅地建物の取引において、宅地建物取引業者が取引当事者に対して契約上重要な事項を説明することをいう。

また、その際に、説明の内容を記載して当事者に交付する書面を重要事項説明書という。

重要事項説明を必要とするのは、宅地建物取引業者が自ら売主として取引する場合、および不動産取引を代理・媒介する場合であり、その説明は、売買契約や賃貸借契約を締結するよりも前に行なわなければならない。また、説明に当たるのは宅地建物取引主任者でなければならず、さらには、説明する重要事項をすべて書面に記載し、取引当事者にその書面(重要事項説明書)を交付する必要がある。

説明を要する事項は、売買か賃貸かなどの取引内容に応じて異なるが、大きく分けて、

1.取引対象不動産の権利関係、2.取引対象不動産に係る法令上の制限、3.取引対象不動産の状態やその見込み、4.契約の条件

に関する事項とされている(詳細は必ず直接に法令(宅地建物取引業法第35条およびその関連法令)に当たって確認されたい。また、臨機に改正も予想されるので留意が必要である)。

重要事項説明は、不動産の特性や取引の形態に起因して取引当事者に不利益が発生することを防ぐための仕組みとされ、その適正な実施が強く求められている。

▲ 重要事項説明書 ( じゅうようじこうせつめいしょ ) 

宅地建物取引業務における重要事項説明に当たって、取引の相手となる当事者に対して交付して説明しなけばならない書面をいう(「重要事項説明」についての詳細は当該用語を参照)。

重要事項説明書には説明を要する重要事項を記載しなければならず、また、書面は、宅地建物取引主任者が、記名押印して交付しなければならないとされている。

▲ 重量鉄骨 ( じゅうりょうてっこつ ) 

「重量鉄骨」とは、厚さが6mmを超える鋼材のことである。
その反対に、厚さが6mm以下の鋼材は「軽量鉄骨」という。

重量鉄骨は、重量鉄骨構造の建物において柱・梁として使用される。


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