■ 不動産用語集
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▲ 壁心 ( へきしん・かべしん )
建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のこと。「壁芯」と書くこともある。
この「壁心」の考え方で計算すると、壁の厚みの分が床面積に加算されるので、実際に使用可能な部分の床面積よりもやや大きな床面積となる。
建築基準法では、建物の床面積とは「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積」であると規定しているので、建築基準法は壁心の考え方を採用しているということができる(建築基準法施行令2条1項3号)。
なおこの「壁心」と異なる床面積の測定方法として「内法(うちのり)」がある。
▲ 壁面線 ( へきめんせん )
道路境界から後退して建物の壁等を建築しなければならないとして指定された線をいう。
街区内における建築物の位置を整えその環境の向上を図るための規制であるが、その指定に当たっては、意見聴取などの手続きが必要である。
主として地区計画や建築協定の際に活用されている制度であり、壁面線が指定された街区については、容積率や建ぺい率が緩和されることがある。
▲ べた基礎 ( べたきそ )
基礎の底部が隙間なく連続し、基礎の底部が一枚の板状になっている基礎のこと。
▲ HEMS ( へむす えいちいーえむえす )
住宅のエネルギーを管理するシステムをいい、Home Energy Management Systemの略。
住宅で使用されている家電や冷暖房などのエネルギー消費の状況を把握・表示し、それを最適化すべく制御するシステムである。さらにこれに、太陽光発電や熱供給などを組み込んで、より効率性の高い制御を実現する試みもある。
なお、同様の考え方によって業務用ビルディングのエネルギーを管理するシステムを、BEMS(Building and Energy Management System)という。
▲ ベランダ ( べらんだ )
建物の壁面から突き出した床の部分。バルコニーともいう。
バルコニー・ベランダは、マンションの場合、共用部分とみなされるので、各住戸の専有面積に算入されない。またマンションの各住戸の所有者は、バルコニー・ベランダに物を置いて火災時の避難に支障をきたしてはならないとされている。
▲ 変更登記 ( へんこうとうき )
不動産登記において、登記がなされた後に、登記と実体とにずれが生じた場合に、訂正するための登記のこと。登記名義人の住所変更の登記、登記名義人の氏名変更の登記などがある。
▲ 変更の登録(宅地建物取引主任者の〜) ( へんこうのとうろく(たくちたてものとりひきしゅにんしゃの〜) )
宅地建物取引主任者の登録を受けた者は、宅地建物取引主任者資格登録簿に登載された事項に変更があったときは、変更登録申請書を遅滞なく提出しなければならない。これを変更の登録という。
(詳しくは宅地建物取引主任者資格登録簿へ)
▲ 変更の届出 ( へんこうのとどけで )
宅地建物取引業者に関する一定の事項を登載した名簿(宅地建物取引業者名簿)の登載事項について変更が生じた場合に、宅地建物取引業者が行なうべき届出のこと(宅地建物取引業法第9条)。
都道府県知事または国土交通大臣は一定の事項を登載した宅地建物取引業者名簿を作成するが、この名簿の登載事項のうち一部の登載事項について変更があったときは、宅地建物取引業者は30日以内に変更の届出を行なう義務を負う。具体的には次のとおり。
1.変更の届出を行なうべき事項
次の1)から5)の事項に変更が生じたとき、宅地建物取引業者は変更の届出を行なう必要がある(法第9条)(※参照)。
1)商号または名称(法第8条第2項第2号)
2)事務所の名称と所在地(法第8条第2項第5号)
3)宅地建物取引業者が法人である場合には、その法人の役員の氏名および事務所の代表者の氏名(法第8条第2項第3号)
4)宅地建物取引業者が個人である場合には、その者の氏名および事務所の代表者の氏名(法第8条第2項第4号)
5)事務所に置かれる専任の宅地建物取引主任者の氏名(法第8条第2項第6号)
※●宅地建物取引業以外の事業を営んでいるとき、その兼業している事業の種類(施行規則第5条第2号)については、変更の届出を行なう義務がない。
●役員・事務所の代表者・専任の宅地建物取引主任者の氏名の変更があったときは届出の必要があるが、住所の変更があったときは届出の必要がない。
●事務所の新設・移転・廃止は、「事務所の名称、所在地」の変更(法第8条第2項第5号)に該当するので、新設・移転・廃止を行なってから30日以内に届出が必要である。
●法人の場合、資本金の額や定款は、そもそも宅地建物取引業者名簿の登載事項ではない。従って資本金の額の変更や定款変更は、届出が不要である。
2.届出期間・届出の相手方
変更が生じてから30日以内に、免許権者(知事免許ならばその知事、大臣免許ならば国土交通大臣)に対して、宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書(施行規則様式第3号)を提出しなければならない(施行規則第5条の3第1項)。
この際に、役員・事務所の代表者・専任の宅地建物取引主任者の増員・交代については、成年被後見人および被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書を提出するなど、さまざまな添付書類が必要となる場合がある(施行規則第5条の3第2項)。
▲ 変動金利型 ( へんどうきんりがた )
住宅ローンのうちで、借入れ期間中に借入れ金利が変動するものをいう。
変動する場合の金利は、長期プライムレート等に一定率を上乗せしたもの(住宅ローンプライムレート)を基準として決定され、原則として年2回見直しされる。返済金額は金利が変動するごとに変わるが、返済金額の増減を一定期間反映させない(つまりその期間中は返済金額が一定である)という方法が取られることもある。
変動金利型に対して、借入れ期間の金利が固定されている住宅ローンもあり、これを「固定金利型」という。一定の条件の下で、固定金利と変動金利を選択できる「固定金利選択型住宅ローン」もある。
▲ ペントハウス ( ぺんとはうす )
次の2つの意味がある。
1.建物の最上階に設けられた非常に高級な部屋
2.建物の屋上に造られた階段室・昇降機塔などのこと
わが国では、主に2.の意味で用いられる。
なお、わが国の建築基準法では、建築面積の8分の1までの広さのペントハウス(2.の意味)は、建築物の高さおよび階数に原則的に算入しないという特例がある(建築基準法施行令第2条)。
▲ ポーチ ( ぽーち )
建物の入り口部分で、建物の屋根とは別の庇(ひさし)を持ち、建物の外壁から突き出している部分を「ポーチ」という(建築用語では庇型ポーチという)。
ただし、建物の外壁に大きなくぼんだ空間を造り、そのくぼみの内側に玄関ドアを設けた場合もその空間を「ポーチ」ということがある(建築用語では寄り付き型ポーチという)。
▲ ポーチの面積 ( ぽーちのめんせき )
一戸建て住宅の場合、ポーチの面積は、建築基準法では次のように扱われる。
1.床面積の計算
庇型ポーチ、寄り付き型ポーチのどちらでも、主に通行専用の用途である限りは、建築基準法上の「床面積」に含まないこととされている。
しかしポーチが通行専用ではなく、例えば車庫や作業場として使用される場合には、建築基準法上の「床面積」に含める必要がある。
2.建築面積(いわゆる建坪)の計算
庇型ポーチ、寄り付き型ポーチのどちらでも、建築面積に含める必要がある。
ただし庇型ポーチで、庇を支える柱がない場合には、庇が外壁から突き出した長さが1m以下であれば建築面積から除外される。
▲ ポートフォリオ(Portfolio) ( ぽーとふぉりお )
投資家が保有する投資資産の集合をいう。
株式、債券、投資信託、不動産などはいずれも投資資産であり、投資家はこれらを全体として管理する。
リスクとリターンはトレードオフ関係にあるから、性格の異なった複数の資産や銘柄に分散して投資することによって安定的で高い収益を上げることができるとされている。
このように、投資資産の組合せに配慮した運用をポートフォリオ運用と呼ぶ。
▲ ホームインスペクション ( ほーむいんすぺくしょん )
住宅インスペクションを参照。
▲ ホールダウン金物 ( ほーるだうんかなもの )
布基礎にあらかじめ埋め込んでおく棒状の金物で、アンカーボルトよりも長い。
ホールダウン金物は、1階の床組の水平材(これを土台という)にあけておいた穴にとおして、柱の側面にボルトで締めて緊結する。つまりホールダウン金物は、柱と布基礎を緊結するものである。
特に3階建て住宅などでは、水平方向の力がかかるときに柱が土台から浮き上がることがあるが、ホールダウン金物はこの浮き上がりを防止する効果がある。
▲ ボイド ( ぼいど )
意識的につくられた構造物がない空間をいい、例えば建物の吹抜けがこれに当たる。
ボイドを設けることは、建築デザインにおける技法の一つであり、ビルディングだけでなく、戸建て住宅でも採用されることがある。
ボイドのある建物は開放感があるが、一方で空調や照明に特別の注意が必要であるとされる。
▲ ボウウィンドウ ( ぼううぃんどう )
ベイウィンドウの形状の一つで、弓形のものをボウウィンドウという。bowとは弓(弓形)のこと。
▲ 防火構造 ( ぼうかこうぞう )
建物の外壁や軒裏について、建物の周囲で火災が発生した場合に、外壁や軒裏が延焼を抑制するために一定の防火性能を持つような構造のことである(建築基準法2条8号)。
このため、防火構造は一般に「外壁・軒裏防火構造」と呼ばれることも多い。
よく似た言葉として「耐火構造」「準耐火構造」があるが、「耐火構造」「準耐火構造」は建物内部で火災が起きた際にも、当該建物自体の倒壊や周囲への延焼を防ぐような構造を指している。
これに対して、防火構造は、建物の周囲で火災が起きたときに、当該建物が火災に巻き込まれないために必要とされる外壁や軒裏の構造のことである。
具体的には、防火構造の詳しい内容は告示(平成12年建設省告示1359号)で規定されている。例えば木造建築物の場合には、その外壁において屋外側を鉄網モルタル塗り、屋内側を石膏ボード張りとすることにより、防火構造とすることができる。
建築物を防火構造としなければならないのは次のようなケースである。
1.防火地域の一定の付属建築物
防火地域で、平屋建ての付属建築物(延べ面積が50平方メートル以下のものに限る)を建てる場合は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。しかしこの場合には、当該建築物は防火構造とする必要がある(建築基準法61条)。
2.準防火地域の地上1階または地上2階の建築物
準防火地域では、地上1階または地上2階の建築物(延べ面積が500平方メートル以下のものに限る)は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。
しかし、そうした場合でも、その地上1階または地上2階の建築物が木造等である場合には、外壁・軒裏を防火構造としなければならない(建築基準法62条2項)。
3.準防火地域の3階建て建築物
準防火地域では、3階建ての建築物(延べ面積が500平方メートル以下のものに限る)は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。
しかし、そうした場合には「3階建て建築物の技術的基準」に適合する必要があるとされている(建築基準法施行令136条の2)。
この「3階建て建築物の技術的基準」では、3階建て建築物の外壁と軒裏は必ず防火構造としなければならないとされている。
▲ 防火地域 ( ぼうかちいき )
防火地域は、都市計画で指定される地域であり、火災を防止するため特に厳しい建築制限が行なわれる地域である(建築基準法61条)。
防火地域での建築規制は次の通りである。
1.すべての建築物は少なくとも「準耐火建築物」としなければならない。
2.次の1)または2)の建築物は必ず「耐火建築物」としなければならない。
1)階数が3以上の建築物
2)延べ面積が100平方メートルを超える建築物
ここで「階数が3以上」とは、地下の階数も含む。従って、防火地域内の地上2階地下1階の建物は耐火建築物とする必要がある。
延べ面積が100平方メートルちょうどであれば、上記2.には該当しないことにも注意したい。
なお、建築基準法61条では、防火地域であっても次の建築物は「準耐火建築物」としなくてもよいという緩和措置を設けている。
ア.平屋建ての付属建築物で、延べ面積が50平方メートル以下のもの。
イ.門、塀
ただし上記ア.に関しては、外壁・軒裏を防火構造とし(建築基準法61条)、屋根を不燃材料でふき(建築基準法63 条)、開口部に防火設備を設ける(建築基準法64条)ことが必要とされている。
▲ 包括承継人 ( ほうかつしょうけいにん )
他人の権利義務を一括して継承する者をいい、例えば相続人や合併会社がこれに当たる。ただし、一身専属権は継承されない。
包括継承は一般継承ともいわれる。これに対して、個別の権利を承継する者を特定承継人という。
包括継承人は、被継承人が有していた債権債務関係も継承し、これに拘束される。従って、相続に当たっては、必要に応じて相続放棄や限定承認の意思を表明することができる。